停止状態でブレーキペダルから足を離すと、スズキの新型「ワゴンR」は「キーン」という高周波音をわずかに響かせながらクリープ走行を始めた(図1)。メーターパネル内では、やや控えめな「EVマーク」が緑色に点灯し、電気自動車(EV)のようにモーターのみで駆動していることをアピールした(図2)。

図1 マイルド・ハイブリッド・システムを搭載するスズキの軽自動車「ワゴンR」
図1 マイルド・ハイブリッド・システムを搭載するスズキの軽自動車「ワゴンR」
[画像のクリックで拡大表示]
図2 メーターパネルに配置した「EVマーク」。控えめに緑色に光った
図2 メーターパネルに配置した「EVマーク」。控えめに緑色に光った
[画像のクリックで拡大表示]

 「マイルド・ハイブリッド・システム」を搭載するスズキの新型「ワゴンR」は、モーターを単独の動力源として使えるようにした。制動時に回生できる電力量を増やした上で、クリープ走行に限定するがモーター駆動を可能にした。搭載するリチウムイオン電池の容量は従来の3倍超に増やした。

 モーターによるEV走行は、発進時や減速して約13km/hになった低速走行時に限られる。スズキは、渋滞中の徐行運転や赤信号での停止前、路地裏の細い道での低速走行時などを想定している。モーターによるクリープ走行は最長10秒間。これまでエンジンが始動していた場面のいくつかをモーターに任せることで、燃料消費や騒音・振動を抑えるのが狙いだ。

 ワゴンRは、先代からマイルドハイブリッド車(HEV)の設定があった(関連記事:スズキの新型「ワゴンR」、エネルギー回生量増やし燃費8%改善)。モーター機能付き発電機「ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)」とリチウムイオン電池を組み合わせるシステム構成も踏襲している。違いは、ISGの高出力化とリチウムイオン電池の大容量化だ。