用語解説

 一般に薄板鋼板と呼ばれるもので,プレス成形加工や打ち抜き加工などで鋼製部品に成形する。特に“深絞り”と呼ばれるプレス成形では加工の度合いが厳しいため,均一に伸びる成形性が強く求められる。以下のような種類がある。

冷間圧延鋼板

 自動車の車体などに適用される冷間圧延鋼板で,一般用のSPCC,絞り用のSPCD,深絞り用のSPCEの3種類がある。成分による規定ではなく,引っ張り試験や成形性を測定するエリクセン試験などで規定されている。

 SPCCなどで,標準の焼き入れ・焼き戻しの調質熱処理後に納入される場合はJIS記号の末尾に「S」を付けて表記する。納品されてから1カ月程度在庫として保管すると,いくらか硬くなる時効硬化という現象が起きる場合がある。特に時効硬化が起こりやすいSPCEで,同現象が起きにくいような処理を施したものにはJIS記号の末尾に「N」を付ける。  SPCDとSPCEは,引っ張り強さが270MPa以上で,伸びは34%~43%以上と規定されている。SPCCでは,注文者から要求のある場合以外は原則として引っ張り試験を適用しない。

自動車用加工性冷間圧延高張力鋼板

 主に自動車のプレス成形加工部品に向けた鋼板として,自動車用加工性冷間圧延高張力鋼板(SPFC)がある。プレス成形性と引っ張り強さ・降伏強さがともに優れている鋼板で,通称は「ハイテン」である(ハイテンションを縮めた)。従来のSPCC製車体部品などを軽量化する目的で開発された。P(リン)添加鋼やフェライト相・マルテンサイト相が混合した複合組織鋼などがある。絞り加工用2種類と加工用5種類,低降伏比型5種類,焼き付き硬化型1種類で構成されている。

 引っ張り強さは,ハイテンの中では最も低いSPFC340と同340Hでいずれも340MPa以上。降伏強さは,SPFC340と同340Hでそれぞれ175MPa以上と185MPa以上である。伸びは厚さに応じて規定してあり,例えばSPFC340の厚さ0.6~1.0mmでは伸び34%以上と定めてある。

自動車用構造用熱間圧延高張力鋼板

 自動車の足周り部品などのプレス成形部品に主に用いられる鋼板でSAPHと表記される。SAPH310など4種類あり,板厚は1.6~14mm。鋼の成分はPが0.040質量%以下,S(硫黄)が0.040質量%以下。

 機械的性質が規定されており,例えばSAPH370では引っ張り強さ370MPa以上,降伏強さ225MPa以上,伸びが厚さ1.6~2.0mmの場合に32%以上などと定められている。自動車用加工性熱間圧延高張力鋼板のSPFHという鋼種も自動車のプレス成形部品に使う。(→表面処理鋼板の項を参照)

供給・開発状況
2005/09/01

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