第4世代移動通信(4G)の後継仕様と位置づけられる次世代の移動通信の通信方式のこと。韓国では2018年に平昌で開催される冬季オリンピック、日本では2020年に東京で開催される夏季オリンピックに合わせる形で、サービス開始を目指している。

 2015年5月時点では、標準化活動は始まっておらず、各国や機器メーカーの関連団体が、それぞれの立場で考える5Gに求められる性能や機能について表明している段階である。とはいえ、各国・各団体の提案を見る限り、5Gの要求仕様として定める値に差はほとんどない。

 具体的には10Gビット/秒超の最大通信速度、エンドツーエンドで1ミリ秒の低遅延、99.999%の信頼性などだ。また、ターゲットして、スマートフォンの延長線にあるようなモバイルブロードバンドに加えて、自動車やロボット、産業機械などの制御、大量に環境にばらまかれるセンサーなどを対象にすることが、提唱されている。

 こうした超高速、低遅延、多数の端末接続などをどのように実現するかは、未確定の部分多いが、(1)当面の間、6GHz以下の周波数帯を使ってLTE/LTE-Advancedと互換性を持ちながら拡張していく、(2)6GHzを超えた帯域を使って新しい無線通信方式を導入する、(3)モバイルエッジコンピューティングの導入、などを行うことで達成するとみられる。

 (1)によって、従来の端末を使えるようにするとともに、カバーエリアを確保する。(2)は高い周波数には連続した広帯域が確保しやすいことから、超高速通信用に使われる。(1)で途切れのない通信を実現しながら、(2)ではスポット的に超高速な通信を実現する、というシステムだ。

 (3)は基地局に計算資源を置くというもの。センターのサーバーで処理せず、端末に近い側(エッジ)で処理することで、センターに送るデータの処理量を減らすとともに、端末への返信や、端末間の折り返し通信を高速にする。低遅延化や大量端末の接続に効果がある。

 5Gの仕様自体は、2017年ごろ仕様化される、3GPPのリリース14から盛り込まれ始めるとみられている。なお、3GPPでは、2016年前半をメドに確定されるリリース13が議論されている。