診療報酬改定にも反映

 地域包括ケアでは、保険者である市町村や都道府県が、地域の特性に応じた仕組みを作ることが求められる。高齢化の進展状況には地域差があるからだ。大都市部では人口は横ばいで75歳以上の人口が増加しており、町村部では75歳以上の人口の増加は緩やかだが人口は減少している。

 各市町村では今後、2025年に向けて介護保険事業計画を3年ごとに策定・実施する。これによって、各地域の特性に応じた包括ケアシステムを構築することを目指していく。

 どの地域でも共通して重点化されるのが、中小規模の病院や診療所の役割である。2014年2月には「地域医療・介護総合確保推進法案」(正式名:地域における医療および介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備などに関する法律案)が通常国会に提出された。同年4月に衆議院で審議入りしている。同法案がうたっているのが、地域包括ケアシステムの推進、そして在宅療養への移行や在宅患者の急変時入院を有床診療所が担うことなどである。

 さらに2014年度の診療報酬改定では、200床未満の中小規模病院に「医療地域包括ケア病棟入院科」が新設される。診療報酬は2588点/日。中小の病院や診療所の医師には主治医機能が与えられ、「地域包括診療料」として1503点が付く。有床診療所の入院基本料も値上げされ、診療報酬の上限は771点/日から861点/日に改定される。

地域包括ケアシステム構築のプロセス(厚生労働省の資料)
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