データヘルスとは

2014/03/26 10:34
大下 淳一=日経デジタルヘルス

 特定健康診査(特定健診)や診療報酬明細書(レセプト)などから得られるデータの分析に基づいて実施する、効率のよい保険事業をデータヘルスと呼ぶ。厚生労働省は2015年度から、すべての健康保険組合に対してデータヘルス計画の作成と実施を求める。この方針は2013年6月に閣議決定された。

 この動きの背景にあるのは、高齢化や生活習慣病の増加に伴う医療費の高騰が社会問題となっていること。特定健診やレセプトの情報を活用することで、保険事業をより費用対効果の高いものにしていこうとするのがデータヘルスの狙いだ(図1)。

図1●理想的な保険事業のイメージ(厚生労働省の資料から抜粋)
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 ここ数年は、データヘルスの基盤となる医療関連データの電子化が進みつつある。例えばレセプトは段階的な電子化が義務付けられており、現状で全体の92%が電子化の対象となった。

 データヘルス計画の推進は、医療データの電子化をさらに加速させ、いわゆる“医療ビッグデータ”を生みだす素地ともなりそうだ。

データベース構築の動きが始まる

 厚生労働省によれば、データヘルスの骨格は「特定健診結果の把握」「レセプト病名と治療内容の関連付け」「特定健診およびレセプトデータの分析」から成る。

 データヘルス計画の特徴として同省が挙げているのは、次の七つだ。(1)レセプト・特定健診データの活用による組合や事業所における全体的な健康・医療状況の把握と、保険事業の効果が高い対象者の抽出、(2)費用対効果を追求した保険事業の実施、(3)PDCAサイクルによるレベルアップ、(4)「松」「竹」「梅」の身の丈に応じた事業範囲、(5)外部専門事業者の活用、(6)加入者個人への情報提供とインセンティブ付与、(7)コラボヘルス(事業主との協働)。ここで(4)の「松」「竹」「梅」は事業範囲の広さを示し、松が最も広範囲にわたる。

 厚生労働省は、データヘルス計画のモデルを2014年度中に作成することを計画している(図2)。加えて、すべての健康保険組合でデータヘルス計画の作成に着手するよう指導し、2015~2017年度に第1期を実施する。2018年度以降は5年サイクルで実施する計画である。

 こうした国の動きに促される形で、データヘルスの基盤となるデータベースを構築する動きが民間からも生まれ始めている。例えば日立健康保険組合と日立製作所は2014年3月、特定健診やレセプトの情報を活用して、集団における生活習慣病の発症率と医療費総額を予測するモデルを開発した(関連記事)。日立健保の約11万人分のデータを用いて有効性を検証したところ、平均誤差5%という高い精度で予測できる見通しを得たという。

図2●データヘルスの実施スケジュール(厚生労働省の資料から抜粋)
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■変更履歴
記事初出時、最後から2番目の段落で、データヘルス計画のモデル作成時期を「2015年度中」としていましたが、正しくは「2014年度中」です。また、第1期の実施時期を「2016~2018年度」、5年サイクルで実施するのを「2019年度以降」としていましたが、正しくはそれぞれ「2015~2017年度」、「2018年度以降」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。