動体追跡照射技術との融合が次のテーマ

 さらに日立製作所は2014年3月、北海道大学と共同開発した陽子線治療装置「PROBEAT-RT」について、薬事法に基づく医療機器の製造販売承認を取得した(関連記事)。国家プロジェクト「最先端研究開発支援プログラム」の採択を受けて開発を進めていたもので、北海道大学は2013年度中にこの装置を使った治療を始める。

 PROBEAT-RTでは、照射方式をスポットスキャニングに特化することで、小型・低コスト化を実現した。ガントリーや照射ノズル、加速器を小型化するとともに、装置の機器配置を見直したという。従来機種「PROBEAT-III」に比べて、周長23mだった加速器を今回は18mに、最大外形長11m、内径3.5mだったガントリーも最大外形長9m、内径2.5mへと小型化した。

 今後は、「動体追跡照射技術」とスポットスキャニングの融合が進みそうだ。動体追跡照射技術は、呼吸などで位置が変わる腫瘍に対して精度よく陽子線を照射する技術。日立は、北海道大学が持つ動体追跡照射技術とスポットスキャニング技術を組み合わせた治療装置について、製造販売承認を申請中だ。