iPhoneでは同機種からBluetooth 4.0(従来版に加え低消費電力版のBluetooth Low Energy(以下、BLE))に対応し、Bluetoothのプロファイル(ヘルスケア・サービス向けのミドルウエアを含んだ実装ガイドライン)をアプリ側に実装して追加できるようになった。これにより、BLEを利用したスマホ周辺機器の開発が容易になったのだ。

 もちろん、BLEモジュールの小型化や低消費電力化が急ピッチで進んでいることも見逃せない。常時身に着けるヘルスケア用の端末では、このBLEのような低消費電力の無線通信を利用して電池の持ちを長くすることが不可欠である。

 一方、常時身に着ける使い方を想定した端末側の設計の工夫もある。例えば、前述のUPの開発に当たりJawbone社は、24時間ずっと装着していれば単に水道水だけではなく、さまざまな不純物にさらされる環境を想定。そこで、「既存の防水規格に適合させるだけでは不十分であり、より厳しい基準を設定した」(同社)。その基準に適合させるための試験を実施する装置も新たに開発した他、製造方法だけで100以上の特許を取得したという(関連記事)

「見せる」から「見えない」へ

 アプセサリーは、名前の通りアクセサリー的な「見せる」要素を持つ。一方で、今後の技術進化の先にあるのは、限りなく「見えない」端末といえるだろう。

up
東京大学大学院の染谷氏らが開発したセンサーシート

 例えば、2014年3月18日に開催する「デジタルヘルス・サミット ~デジタルヘルスの未来2014~」のパネル討論に登壇予定の東京大学大学院 工学系研究科 教授の染谷隆夫氏らは、2μmと薄く、3g/m2と軽い有機トランジスタ集積回路を開発。この「世界最薄・最軽量」(同氏)という有機トランジスタ集積回路の特徴を生かし、生体センシングに応用する検討を進めている。身に着けても存在感を感じさせないセンサーや、体の中に埋め込むことによって生体情報を直接的に取り出すセンサーの実現を目指す。