送受信回路の低電力化がカギ

 BANを実現する無線通信技術の開発はここにきて活発化している。例えば富士通研究所とオランダimec Holst Centreは2014年2月、BANに向けた超低消費電力の送受信回路を開発した(関連記事)。

 IEEE802.15.6に準拠した400MHz帯を利用する。脳波や画像の通信が可能な高速モード(4.5Mビット/秒)と、センサーノードの動作待機時に向けた低速・低電力モード(11.7kビット/秒)の二つの独自モードに対応させた。4.5Mビット/秒という高速のデータ通信速度でありながら、受信1.6mW、送信1.8mWという極めて低い消費電力を実現したことが最大の特徴だ。

 BANを構成するセンサーノードでは、電池の交換や充電の頻度を減らせる長時間稼働が強く求められる。富士通によれば、センサーノードを構成する部品のうち最も消費電力が高いのが無線送受信回路であり、その電力を低減する効果は大きい。今回はこの要求に応える回路技術を開発した。この回路技術は、BANによる生体情報のモニタリング用途だけでなく、複数の医療機器を統合的に管理するためのセンサーノードにも適用が可能としている。

斎藤氏
BANの適用例(出典:富士通)