高齢者や高齢化に関わる問題を解決するために,さまざまな視点から研究する学問領域。具体的には,医学や社会学,生理学,心理学,経済学,法学,工学,建築学といった多様な学術分野から,高齢者や高齢化の問題を総合的に探求する学問を指す。

 ギリシャ語の「geron」(老人)と,学問を意味する接尾語「-logy」を組み合わせた言葉である。日本語では,「老年学」や「老人学」と訳されることもある。

 ジェロントロジーは,高齢化に伴う問題を課題として捉えるのではなく,前向きに受け入れることを基本とする。社会インフラや制度などを,高齢化社会に合わせて再構成していくことを考える。

  ジェロントロジーの研究は,欧米で先行して進められてきたとされる。実際,米国では大学などでジェロントロジーを教えているところも多い。当初のジェロントロジーの研究は,人口統計などの社会学的な研究や,老化現象の研究が中心だった。しかし,さまざまな側面から高齢化の問題を捉えていく機運が高まり,現在のような多くの学術分野を横断する学問領域に進化してきた。

 日本でも,ジェロントロジーを本格的に研究する機関が現れ始めている。例えば,2009年4月に東京大学に設置された高齢社会総合研究機構では,「ジェロントロジーという俯瞰的な視野から問題解決を志向する,次世代研究者の養成を行う」(同機構)としている。

ジェロントロジーは,さまざまな学術分野から横断的に高齢化問題を研究する学問である。