口から飲み込むことで,体内の器官の様子を撮影する医療機器。小腸観察用のカプセル内視鏡から実用化が始まった。小腸以外にも,大腸や食道などを観察するためのカプセル内視鏡が開発されている。

 開発で先行したのは,イスラエルGivenImaging Ltd.である。2000年5月に米国サンディエゴで開催された消化器関連の医学学会において,同社などがカプセル内視鏡を利用した動物実験の結果を発表した。同時に,雑誌『Nature』にも掲載された。

 Given Imaging社が開発した小腸用のカプセル内視鏡は,2001年5月にCEマークを取得,同年8月にFDAの認可を得た。日本での薬事承認も2007年4月に取得した。

 オリンパスメディカルシステムズも,小腸用のカプセル内視鏡を実用化している。2005年10月に欧州で,2007年10月に米国で発売した。日本の薬事承認は2008年9月に取得した。

 カプセル内視鏡のルーツは,「軍事技術」にある。イスラエル国防省の軍事技術研究機関でカメラ付きミサイルの開発に携わっていた技術者が,たまたま消化器内科医と出会ったことがキッカケとなった。二人が議論を交わしていく中で,「カメラ付きミサイルのようなものを飲み込めば消化器官の様子を画像化できるのでは」という発想にたどり着いたという。その発想を基に研究や実験が重ねられ,設立に至ったのが,Given Imaging社である。同社は1998年に設立された。

 現時点でのカプセル内視鏡は,「観察する」という機能しか備えないが,さらなる進化が期待されている。例えば,「投薬できる」「組織採取できる」といった具合である。これを実現する試作品や要素技術も出てきている。

左がGiven Imaging社,右がオリンパスメディカルシステムズの小腸用カプセル内視鏡
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