日本遠隔医療学会は「通信技術を活用した健康増進,医療,介護に資する行為」と定義している。国内では,旭川医科大学病院による眼科の遠隔医療などが代表例である。

 日本遠隔医療学会 元理事長の村瀬澄夫氏によれば,遠隔医療は大きく次の四つに分類できるという。

  • 「 テレラジオロジー」:放射線画像を専門医へ転送
  • 「 テレパソロジー」:病理画像を病理医へ転送
  • 「 テレケア」:健康管理端末で測定した生体情報を,保健士や医師へ転送
  • 「 テレコンサルテーション」:画像を見ながら指導,コミュニケーション

 医師の間で画像などをやり取りする遠隔医療は,法的に問題ない。一方,患者を対象にした遠隔診療については,患者との対面診療を原則とする医師法第20条の解釈が問題になってくる。

 遠隔地で健康相談などを実施する「遠隔予防医療」や「遠隔健康相談」の実証実験も進んでいる。こうした実験の本質的な狙いは,診療報酬の制度改正にある場合が多い。現状の医療保険制度では,日常生活の生体データなどを基にした予防医療的な行為には基本的に保険点数(診療報酬)が付かず,医療機関は収入を見込めない。このため,実験を通じて効果を確認することで,医療機関にもメリットが出るような診療報酬などの制度改正につなげることを狙う。

旭川医科大学病院による眼科の遠隔医療の様子
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