建物や工場、発電所などの建設に関する契約の一つが、「EPC契約」である。設計(engineering)、調達(procurement)、建設(construction)を含む、建設プロジェクトの建設工事請負契約を指す。EPCを提供することを「EPCサービス」と呼ぶこともある。また、「ターンキー契約」もしくは「フルターンキー契約」という表現もほぼ同じ定義で使われる。工事を発注した人が、カギを回せばすぐにも稼働する状態まで請け負うので、こう呼ばれる。EPC契約を採用すれば、発注者にとっては、施工ミスや資材の高騰など設計・調達・建設にかかわるリスクを低減できる。

 メガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設プロジェクトでは、発電事業者との間で締結されることが多い。EPC契約を結んだ建設請負事業者が、発電システム全体の設計から手掛け、太陽光パネル、パワコーコンディショナー(PSC)、架台などの部材・資材などを選定して調達し、現場の土木・施工企業の手配や進捗の監理まで一貫して担当する。

 また、メガソーラーの建設プロジェクトでは、発電事業者が特定目的会社(specific purpose company:SPC)の場合、EPC契約を結んだ建設請負事業者が、SPCにも出資して自らも発電事業者となっている場合も多く見られる。

メガソーラーのほとんどはEPC契約による建設だ(出所:日経BP)
メガソーラーのほとんどはEPC契約による建設だ(出所:日経BP)
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