デマンドレスポンスの技術と標準化

 デマンドレスポンスは、供給側と需要側の双方向通信による情報伝達を必要とする。価格調整による場合、ピーク価格情報が電力会社から需要家に送られ、需要家内のHEMSが価格情報に基づいて家電機器を最適に制御する。ネガワット取引では、電力会社やアグリゲーターと需要家の間でネガワット量や価格情報がやり取りされ、実際に削減した電力量が電力会社に送信される。こういった個々のやり取りにおいて相互接続を確保するために、使用する通信方式、通信プロトコル、情報モデルや表現方法などを標準化する必要がある。

 国際標準では、IEC(国際電気標準会議)の「TC13電力量計・負荷計測装置」において電力メーターからのデータ伝送の標準化、「TC57電力システム管理および関連する情報交換」において集約された電力量データと管理システムのインタフェースや、電力系統と需要家システムのインタフェース、情報モデルの標準化などが行われている。これらはデマンドレスポンスのみに特定されているものではなく、電力システムにおける情報通信技術の全般的な活用を対象とした標準化活動である。

 2011年秋には、「PC118スマートグリッドユーザインタフェース」が設立され、デマンドレスポンスの実現をターゲットとした標準化活動が始まっている。民間団体では、OpenADRアライアンスという米国に本拠を置く団体がデマンドレスポンスに関わる技術の仕様を作り、標準化を進めている。2012年、米国の公的標準化推進団体であるNIST(National Institute of Standards and Technology)のSGIP(スマートグリッド相互運用性パネル)が取りまとめた報告では、OpenADRの仕様をIECに合わせることを推奨しており、デマンドレスポンスに関する国際標準化の動きが活発化すると見られる。

デマンドレスポンスを実現する技術と標準化
[画像のクリックで拡大表示]