バイオマスを高効率にエネルギーとして利用することを高効率バイオマス(もしくは高効率バイオマス利用)と呼ぶ。この場合、バイオマスをいかに効率良く燃料に変換するかが大きなテーマとなる。バイオマス発電では発電の高効率化も重要だが、これは火力発電技術の応用と考えられるので、ここではバイオマスの変換技術に的を絞って解説する。

 バイオマスとは、動物や植物などから生まれた生物資源の総称であり、バイオマスから得られたエネルギーをバイオマスエネルギーと呼ぶ。例えば、薪や炭などは古くから利用されるバイオマスエネルギーの代表である。近年では科学技術を用いてサトウキビやトウモロコシからバイオ燃料を精製したり、家畜の糞尿を発酵させてバイオガスを取り出したりするなど、多様なバイオマスがエネルギーとして利用されるようになってきた。

 これらバイオマスは、燃やせば二酸化炭素を排出するが、もともとはトウモロコシやサトウキビが成長過程で光合成によって吸収した二酸化炭素を再び大気中に放出するだけと考えられるため、全体として見れば大気中の二酸化炭素は増えないとみなすことができる。

 世界各国は、このカーボンニュートラルなバイオマスエネルギーの持つ特性に着目し、気候変動対策の一環としてバイオマスエネルギーの開発・利用を進めている。バイオマスエネルギーは、ペレットなどに成型したり、ガス化したりして発電用燃料として用いることもあれば、液体燃料化することで自動車などの輸送燃料に用いることもある。前者は「バイオマス発電」と呼ばれ、後者は「バイオ燃料」と呼ばれる。

バイオマスエネルギーと変換技術・利用方法
出所:資源エネルギー庁「バイオ燃料のいま」を参考に筆者作成
[画像のクリックで拡大表示]

 日本の輸送燃料は、ほぼ100%を海外から輸入する石油に依存している。国は2030年までに、この依存度を80%程度に低減することを目指し、バイオ燃料の導入を推進している。新エネルギー技術の開発や利用促進を責務とする独立行政法人のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、食料と競合しない草木を用いたバイオマスから燃料を精製する技術、あるいは藻や下水汚泥などの食糧生産活動そのものと競合しない原料を用いて燃料を精製する技術などの開発を進めている。

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進めるバイオマス関連の技術開発
出所:新エネルギー・産業技術総合開発機構「バイオマスの利活用に関する課題と取り組み状況」より筆者作成
[画像のクリックで拡大表示]