コンバインドサイクル(Combined Cycle)発電について説明しよう。昔ながらの火力発電のイメージは、LNG(液化天然ガス)などの燃料を燃やし、その熱で蒸気を作り、蒸気でタービンを回し、タービンで発電機を回して発電する、という流れである。ここでジェットエンジンを思い浮かべてほしい。ジェットエンジンは、燃料を燃やして直接タービンを回している。火力発電の燃料を燃やすというステージでもタービン(ガスタービン)を回して、後段の蒸気タービンと合わせれば、燃料の持つエネルギーを取り出す効率が上がりそうである。これがコンバインドサイクル発電の仕組みである。
コンバインドサイクル発電は、その機械的構造により大きく二つに分けられる。一つは、ガスタービンの軸と蒸気タービンの軸を一直線に並べ、この軸で発電機を回す構造であり、これを「一軸型」という。通常、この一軸ユニットを複数台並べて一つの発電機のように運転する。
もう一つは、ガスタービン+発電機を一つのユニットとして、これを複数台並べて、排熱回収ボイラで作った蒸気を1カ所に集め、これで蒸気タービンを回して発電するタイプである。ガスタービンと蒸気タービンが別々の軸を有することから多軸型と呼ぶ。
一軸型は、ユニットごとに運転/停止することができる。ユニットの効率が最大となる負荷に合わせた設計にすることで、いくつかのユニットが停止した状態の中間的負荷でも良好な効率で運転できる。電源としては、ミドル電源、ベース電源の両方に適用可能である。
多軸型は、蒸気タービンを大きく作ることができることから、蒸気タービンの効率を上げることができ、定格負荷時の効率向上が期待できる。一軸型に比べて構造が複雑だが、ガスタービン系と蒸気タービン系を異なる出力で運転できる。この方式は、主にベース電源に使用される。
システム | ガスタービン温度(℃) | 効率(%LHV) (低位発熱量基準) | 効率(%HHV) (高位発熱量基準) |
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Combined Cycle(CC) | 1,100 | 47 | 43 |
ACC(Advanced CC) | 1,300 | 55 | 50 |
MACC(More ACC) | 1,500 | 59 | 53 |
さて、ガスタービン系の効率をηG、蒸気タービン系の効率をηSとすると、全体効率ηCは次式で表わされる。
この全体効率を上昇させるには、ガスタービンへの燃料燃焼温度を上げることが最も効果的である。当初、1100度だったガスタービン温度も、1300℃、1500℃と上昇してきており、現在は材料性能の限界に近い1600℃超級への挑戦が続いている。