燃料電池には、使用する電解質の違いにより4方式に分類される。
●固体酸化物型(SOFC):安定化ジルコニアなどのイオン伝導性セラミックス
●リン酸形(PAFC):リン酸
●溶融炭酸塩形(MCFC):炭酸リチウム、炭酸カリウム
現在、製品開発、普及が期待されているのは、PEFCとSOFCであり、開発・実用化の競争が始まっている。SOFCは、発電効率が高く、高価な触媒(白金など)を必要としないため、製造コスト削減に有利だが、電解質となるセラミックス材料の製造技術が実用化のカギとなっている。
  | 原料 | 作動温度 | 特長 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
PEFC | 都市ガス、LPGなど | 常温~ | ○常温で動作可能 ○起動、停止が速い ×触媒に用いる白金が高価 ×発電効率が低い | 自動車用、家庭用 |
SOFC | 都市ガス、LPGなど | 1000℃前後 | ○発電効率が高い ×起動、停止が遅い | 家庭用、産業用、大規模発電用 |
家庭用燃料電池においてはPEFCが先に商品化されたが、2011年にSOFC方式の家庭用燃料電池も実用化されたことで、家庭用燃料電池は今後SOFCが主流になると考えられる。
SOFCは発電効率が高いが、作動温度が高いため、常に高温状態を保って発電し続ける使い方が適しており、まずは定置型としての開発が進んでいる。起動までに時間がかかるため、運転・停止を繰り返すような使い方には向いていない。
燃料電池自動車では現在はPEFCが主流だが、将来的にはSOFCの応用も期待されている。この場合、SOFCは起動・停止の繰り返し動作に適していないため、通常の燃料電池自動車とは異なる使い方が考えられている。すなわち、通常のPEFC燃料電池自動車は発電した電力を直接モーターに供給して自動車を動かすが、SOFC燃料電池の場合は充電池式のEVにSOFC燃料電池を組み合わせ、走行中に充電池の容量が少なくなった際にSOFCを動かして充電池を充電するシステムなどが考えられている。