標準規格に準拠するために欠かせない特許をライセンスする際の「公平、妥当かつ差別のない(fair, reasonable and non-discriminatory)」条件のこと。

 通信規格などを定める標準化団体では、標準仕様に準拠するための必須特許については、保有者が自発的に申告して登録するルールがある。いわゆるIPRポリシーである。特許は、権利者に独占的に使用権などを与えるものだ。しかし、標準仕様で必要な特許についても独占使用権を認めると、標準規格は一部の者しか使えなくなってしまう。

 こうした矛盾が生じないように、IPRポリシーを定めて、ここで必要な特許を公平にライセンスしようとする考えに基づくのがFRAND条件である。

 FRAND条件は、最近になってスマートフォンに関する特許訴訟が相次いだ際に注目された(関連記事)。米Apple社が、フィンランドNokia社、台湾HTC社、米Motorola Mobility社、韓国Samsung Electronics社とそれぞれ争っている際に、係争相手が標準必須特許の権利をIPRポリシーに反して申告しないなどしてFRAND条件でのライセンスをしていない点を批判している。仮に、標準必須特許に基づく製品の販売などの差し止め命令が裁判所から下るようなことになれば、IPRポリシーとそれに基づくFRAND条件は有名無実化することになる。