発電システムでは、石油、石炭、液化天然ガスなどの燃料にするエンジンを動力源にしてモーター(発電機)を回すことで電力を得ている。しかしエンジンの排気にも、まだたくさんの熱が残っている。この熱をさらに活用すれば燃料の利用効率が上がりそうなことは、誰もが想像することだろう。そこで、排気に残っている熱を回収して、再利用しようというのが、コジェネ(Co-Generation、熱電併給)と呼ばれるシステムである。

コジェネレーションシステムの概念図
コジェネレーションシステムの概念図

 コジェネに使用する燃料はさまざまだが、一般的には、都市ガス、重油、軽油などがある。また、その燃料を燃やして発電機を駆動する動力源としては、レシプロ・エンジン(普通のピストンとシリンダから成るエンジン)、ガスタービン・エンジンなどがある。そして、このエンジンの排気から熱も回収して活用する。

 都市ガスを使用するエンジン・発電機では、もともとの都市ガスが有しているエネルギーのおよそ4割を電力として取り出すことができると言われている。コジェネ設置者の燃料調達価格は開示されないので明確なことはわらないが、コジェネ・システムのメンテナンス・コストなども考慮すると、発電した電力コストは、一般の電力会社から電力を購入するより高いようである。

 さて、コジェネでは、発電の次のステップとして、エンジンなどの発電用動力源の排気に含まれる熱を回収する。熱の回収には、排ガス・ボイラという装置を使う。ここでは、燃料となる都市ガスのエネルギーの3~4割近くが取り出せると言われており、先に説明した電力と合わせると、コジェネは7~8割のエネルギーを燃料から取り出せる計算になる。これによって、コストメリットが産み出される。

 電力と異なり、熱は長い距離を輸送することが難しい。したがって、コジェネで取り出せた熱も回収地点のごく近傍で使用しなければ、ロスが多く発生してしまい、無駄になってしまう。このため、コジェネを使用することが有利なユーザーは、回収した熱をきっちり使い切ることができる需要を抱えたユーザーに限定される。具体的には、加熱工程などがある工場などがその代表例である。

 なお、熱の回収はエンジンの排気からのみではない。自動車のエンジンと同様、冷却のためにエンジンには水を廻しているので、この温まった冷却水からも熱を回収できるため、これも活用するシステムがある。

 熱と電力の両方を供給するシステムとしては、近年注目されている燃料電池もその仲間である。このため、燃料電池もコジェネの一種として整理される場合がある。