BEMS(ベムス、Building Energy Management System)という単語を最近よく耳にするようになった。建物に設置された設備や機器の運転データ/エネルギー使用量データを蓄積・解析し、効率よく制御することでエネルギー消費量の最適化/低減を図るシステムである。なお、BEMSという名称は、一般的にはオフィスビルなどの“ビル”を対象にしたシステムを指し、工場を対象にしたシステムをFEMS(Factory Energy Management System)と呼ぶが、本質的には同じものである。

基本的な構成要素

 BEMSは、基本的に以下の3つの単位で構成されている。

(1)BAS(Building Automation System)
ビル内の設備や機器を遠隔制御するとともに、各種センサーからの情報を収集する。BASとビル内の機器などとは、BAS/機器メーカーの独自プロトコル、あるいはBACnet(バックネットと呼ぶ)などの業界標準的プロトコルで接続される

(2)EMS(Energy Management System)
BASを通して収集したデータなどを基に、当該ビルのエネルギー消費の最適化/低減を図る

(3)各種センサー、設備・機器
ビル内には、多種多様なセンサー、設備・機器がある。それらを整理すると以下のようになる

a)センサー類
・温度センサー(空調制御)
・照度センサー(照明制御)
・人感センサー(人感制御)
b)設備
・受変電設備
・空調設備
・熱源設備
・衛生設備
・電気設備
・給配水設備
・消防用設備
・セキュリティ設備

 これらを大規模かつ有機的に結合し、ビル全体の設備・機器の運転データ/エネルギー使用データを蓄積・解析することで、ビル全体のエネルギーを集中管理できるようにしたシステムを中央監視システムと呼ぶ。基本的には、ビル内で完結したシステムである。中央監視システムメーカーが運営する監視センターと通信回線で接続し、機器故障などの際への迅速な対応が受けられるシステムや、エネルギー使用データなどを外部のデータセンターに蓄積するシステムなどもある。さらなる拡張機能として、テナントの電力メーター検針などを支援するBMS(Building Management System)や、施設管理などを支援するFMS(Facility Management System)を追加することもある。