「常時バックアップ」とは、新電力が需要家に対して電力を供給する(小売りする)際、需要家が求める電力に供給量が足りないとき、一般電気事業者から一定量の電力を継続的に融通(卸売り)してもらう形態をいう。

 似たケースで「部分供給」という電力供給方法もあるので、まずは下図をご覧頂きたい。

新規参入者(新電力)による電力供給パターン
[画像のクリックで拡大表示]

 このように「常時バックアップ」は、新電力が一般電気事業者から電気の一部卸売りを受けて需要家に対して電気を全量供給する形態である。一方の「部分供給」では、新電力と一般電気事業者それぞれが、需要家と契約を締結して電気を供給する形態である。需要家から見ると、常時バックアップなら2社との契約ではなく、1社と電力供給契約を結べばよい。

 2000年3月からの電力の小売部分自由化(特別高圧の自由化)の開始を受けて、新電力が電力小売市場に参入した。常時バックアップの契約(一般電気事業者と新電力との間の契約)は、現行の電気事業法の枠外にあり、法律上の担保はない。しかし、一般電気事業者以外には、新電力に対して同種のサービスを提供し得ないとして、経済産業省と公正取引委員会が共同で作成した「適正な電力取引についての指針」(1999年12月公表、2011年9月に最新版に改訂)により、公正かつ有効な競争の観点から問題となる行為を具体的に例示している。例えば、仮に一般電気事業者が新電力に対して、常時バックアップを拒否したり、正当な理由もなく供給量を制限したり、不当に高い料金を設定したりすると、「電気事業法および独占禁止法上で問題視する可能性が高い」としている。