変換効率の向上方法には、いくつかの方向性がある。
(1)材料・構造の工夫
太陽光には様々な波長の光が含まれているが、現在太陽電池として最も用いられるシリコンでは、赤外線(波長が1.1μmより長い光)よりも波長が長い光を電気エネルギーに変換できない。効率よく電気エネルギーに変換できる波長は材料・結晶構造により異なるので、シリコン以外の材料(例えばガリウム砒素:GaAsなど)を用いて、ほかの波長の光を電気エネルギーに変換させたり、複数の材料を積み重ねたりすることで、太陽光に含まれる様々な波長の光を無駄なく、効率よく電気エネルギーへ変換させている。2012年5月にシャープが発表した、世界最高変換効率43.5%の太陽電池セルは、3種類の化合物を積み重ねたものである。
さらに、現在研究されている量子ドットと呼ばれる構造では、従来の半導体結晶ではエネルギーとして取り出せなかった波長を電気エネルギーとして取り出すことが可能となり、飛躍的に変換効率を向上させる技術として期待されている。
(2)太陽電池への光の照射の工夫
レンズなどの集光装置を用いて太陽光を太陽電池セルに集め、大量の太陽光を太陽電池セルへ照射させる方法がある。太陽電池セルの単位面積あたりの変換効率は上昇するが、集光装置部分の面積が必要になるため、実用化した際の「設置面積」は、セル面積の合計よりも大きくなる場合がある。
(3)その他
太陽光だけでなく太陽熱も利用して、取り出すエネルギー(電気+熱)を大きくする方法も広い意味での効率向上として取り組まれている。シリコン太陽光発電の3倍程度のエネルギーを取り出すことが可能とされている。