省電力、再生可能エネルギーによる発電など、電力に関わる話題には事欠きません。こうしたニュースに表れるキーワードを取り上げ、解説します。
電力用語辞典
目次
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デマンドレスポンス
デマンドレスポンス(Demand Response)
従来の電力供給システムでは、需要に合わせて供給側を変動させることで電力の需給バランスを一致させていた。これに対し、需要家が需要量を変動させて電力の需給バランスを一致させることをデマンドレスポンスという。
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地域間連系線の強化
チイキカンレンケイセンノキョウカ
地域間連系線とは、「送電網の広域運営」で解説したように、電力会社の系統を相互に接続する設備である。連系線の強化とは、送電できる運用容量を大きくすることである。これにより、地域単位での電力不足を解消し、再生可能エネルギーの導入を促進し、電力取引を活性化させるなどのメリットが得られる。
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広域系統運用機関
コウイキケイトウウンヨウキカン
政府の電力システム改革専門委員会は、2013年2月に公開した最終報告書の中で、「強い情報収集権限・調整権限に基づいて、広域的な系統計画の策定や需給調整を行う、広域系統運用機関(仮称)を設立する」と提言した。この広域系統運用機関の設立によって、これまでの「地域の需要に応じた供給力を確保する」仕組みか…
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電力システム改革
デンリョクシステムカイカク ―― 改訂版
2013年2月、経済産業大臣の諮問機関「総合資源エネルギー調査会電力システム改革専門委員会」が報告書を提出した。この報告書は、東日本大震災により日本の電力供給システムに課題があることを指摘し、それらを踏まえた今後の大規模な制度改革の骨格を表している。その大きな柱は、「小売全面自由化」「市場機能の活…
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容量市場(キャパシティ市場)
ヨウリョウシジョウ
容量市場とは、供給量(キロワットアワー:kWh)ではなく、将来の供給力(キロワット:kW)を取引する市場である。系統運用者が、数年後の将来にわたる供給力を効率的に確保するために、発電所などの容量を金銭価値化し、多様な事業者に市場で取り引きさせる仕組みのことを指す。
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アンシラリーサービス市場
アンシラリーサービスシジョウ
英語でアンシラリー(Ancillary)とは、「補助的な」「付属の」という意味である。電力用語のアンシラリーサービスは、電力品質(周波数や電圧)を維持するために電力系統運用者が日々行っている、周波数制御などの系統運用サービスのことであり、電力ビジネスにとって非常に重要なサービスのことである。
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系統(電力系統)
ケイトウ
系統(電力系統)とは、発電設備、送電設備、変電設備、配電設備、需要家設備といった電力の生産から消費までを行う設備全体を指す。言葉のイメージから、送配電ネットワークのみを指すものと思われるかもしれないが、誤解である。
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スマート
スマート
スマートメーターやスマートグリッドなど、「スマート○○」という用語がよく聞かれる。ここで使われる“スマート”とは、IT(情報通信技術)を駆使して、対象物を“賢く”することを指している。
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インバランス料金
インバランスリョウキン
新電力(PPS)が30分同時同量を達成できず、供給電力に不足が生じると、電力会社の系統運用部門が代わりに電力を補給するが、その対価として新電力が電力会社に支払うペナルティ料金を「インバランス料金」と呼ぶ。インバランス料金とは通称であり、正式には「変動範囲内(外)発電料金」と言う。電気事業法関係省令…
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新しい火力電源入札制度
アタラシイカリョクデンゲンニュウサツセイド
2012年9月、電力の安定供給と電気料金の引き下げ(適正な原価の形成)を目的として、経済産業省から「新しい火力電源入札の運用に係る指針」が示された。これにより、一般電気事業者は、新規に火力電源を調達(火力発電所を新設・増設・リプレース)する際には、原則として入札にかけなければならないことになった。
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老朽火力のリプレース
ロウキュウカリョクノリプレース
火力発電所の「リプレース」とは、発電所設備の更新事業のうち、老朽化した古い発電所を廃止・撤去して、同じ地点に全く新しい発電所を建設(スクラップ&ビルド)することをいう。
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電力小売市場の全面自由化
デンリョクコウリシジョウノゼンメンジユウカ
電力小売市場については、2000年から参入規制が順次緩和され、地域の電力会社(一般電気事業者)以外に、電力小売事業に新規参入した事業者(新電力)も各地で電力小売りを行っている。
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グリーン政策大綱
グリーンセイサクタイコウ
2012年11月末、当時の民主党政権は、関係閣僚により構成される「エネルギー・環境会議」において、再生可能エネルギーの普及や節電・省エネルギーの推進などに関する具体策を盛り込んだ「グリーン政策大綱」の骨子を発表した。この「グリーン政策大綱」は、今のところ、「骨子」のままとなっている。
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CCS
Carbon dioxide Capture and Storage
CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)とは、地球温暖化対策として注目されている技術である。火力発電所(主に石炭火力発電所)や工場などで発生する温室効果ガス(主にCO2)を、大気に放出する前に分離・回収して貯蔵する一連のプロセスを指す。技術的には大きく分けると…
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高密度蓄電池
コウミツドチクデンチ
政府の革新的エネルギー・環境戦略(2012年9月14日,エネルギー・環境会議決定)の中で、再生可能エネルギーの大量導入に向けて『研究開発・実証』すべきものの中に“高密度蓄電池”という用語が出てくる。ここでは、蓄電池のエネルギーの高密度化に向けた動きを紹介しよう。
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高効率バイオマス発電
コウコウリツバイオマスハツデン
バイオマスを高効率にエネルギーとして利用することを高効率バイオマス(もしくは高効率バイオマス利用)と呼ぶ。この場合、バイオマスをいかに効率良く燃料に変換するかが大きなテーマとなる。バイオマス発電では発電の高効率化も重要だが、これは火力発電技術の応用と考えられるので、ここではバイオマスの変換技術に的…
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電力先渡市場
デンリョクサキワタシシジョウ
電力先渡市場(electricity forward market)とは、日本卸電力取引所(JEPX)が開催する、将来の一定期間に受け渡す電気を取引する市場である。現在、月間の昼間型と24時間型、週間の昼間型と24時間型の商品が用意されている。
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バックエンド事業
バックエンドジギョウ
原子力発電を行う際の「核燃料サイクル」のうち、原子燃料製造や発電所運転は一般に「フロントエンド事業」と呼ばれる。一方、放射性廃棄物の処理や使用済み燃料の再処理、原子炉の廃炉事業に関しては「バックエンド事業」と呼ばれる。
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トップランナー基準
トップランナーキジュン
エアコンや冷蔵庫、テレビなどを買うときに、「省エネラベル」というものが貼られているのをご覧になったことはあるだろうか? これは機器の省エネルギー性能を表示するものであり、特にエアコン、テレビ、冷蔵庫、電気便座、家庭用蛍光灯器具の5品目については「統一省エネラベル」というものが定められている。省エネ…
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高効率コンバインドサイクル発電
コウコウリツコンバインドサイクルハツデン
コンバインドサイクル(Combined Cycle)発電について説明しよう。昔ながらの火力発電のイメージは、LNG(液化天然ガス)などの燃料を燃やし、その熱で蒸気を作り、蒸気でタービンを回し、タービンで発電機を回して発電する、という流れである。ここでジェットエンジンを思い浮かべてほしい。ジェットエ…