ロームのLEDドライバIC
ロームのLEDドライバIC

 LEDは基本的には直流電力で点灯する。このため,交流電力でLEDを点灯するには,交流電力を直流電力に変換するAC-DCコンバータを電源回路として使う。直流電力を用いる場合,直接LEDを点灯させることは可能だが,DC-DCコンバータを電源回路として用いて制御された電力でLEDを点灯することが多い。

 LEDを点灯させる電圧は青色LEDや白色LEDなどGaN系半導体材料を用いる品種は3V以上,赤色LEDなどは2V以上が必要になる。加えて,高い電圧を印加すると破壊してしまう危険性がある。このため,LED 1個当たりに加わる電圧がLEDの破壊電圧を超えないように電圧を抑えたり,LEDを複数個直列につないでLED 1個当たりに加わる電圧を下げたりといった制御が必要になる。このような電力制御をAC-DCコンバータやDC-DCコンバータが担っている。

 液晶バックライトや照明などに白色LEDを用いるとき,直流電力でLEDを点灯する電源として使われるのが白色LEDドライバICである。白色LEDドライバICには,昇圧にスイッチング・レギュレータ回路を用いるものとチャージ・ポンプ回路を使うものの2種類がある。これらの回路は電力変換効率やEMI,実装寸法などで一長一短があり,製品を選ぶ際の第一の選択基準といえる。一般には,電力効率を最優先すればスイッチング・レギュレータ回路,EMI対策の手間やコストを削減したい場合はチャージ・ポンプ回路が向く。

 LEDの中には,AC-DCコンバータを用いずに交流電力で直接点灯できる品種がある。例えば,韓国Seoul Semiconductor Co.,Ltd.の「Acriche」がある。Acricheは,100~220Vの高電圧交流電源で直接動作するように,複数個の青色LEDセルを1チップ上に集積する。同一基板上に2次元的に複数のLEDセルを配置し,それらを2組に分けてそれぞれの組のLEDセルを直列につなげる。初期製品では,それぞれの組を外部電極に対して互いの極性が逆方向になるように並列に接続し,各組を交流電圧に合わせて交互に点灯させていた。最近同社が投入した品種では,ブリッジ回路を利用して整流した電圧で全LEDセルが同時に点灯するようにしている。