LEDチップをパッケージに実装(封止)する際,LEDチップが発する光をパッケージ外に取り出すために,パッケージの一部あるいは大部分を透明材料で形成する。透明材料としては,エポキシ樹脂やシリコーン樹脂が使われており,最近はガラス材料の開発も進められている。エポキシ樹脂は,インジケーターや小型液晶パネルのバックライトの光源として用いる,出力が小さいLEDに使われる。一方,シリコーン樹脂は出力が大きいLEDに使われる。
シリコーン樹脂はエポキシ樹脂に比べ,材質が劣化して光の透過率が下がっていくスピードを抑えられる。シリコーン樹脂による封止技術は,照明器具や大型液晶パネルのバックライトなどに使われる高出力品のほぼすべてが採用しているといえる。波長400nm~450nmの光に対して,エポキシ樹脂は最大で数%も吸収するが,シリコーン樹脂は1%以下になる。樹脂の劣化速度はその分遅くなる。エポキシ樹脂では輝度半減までの寿命1万時間が精いっぱいだったのに対し,シリコーン樹脂によって輝度半減までの所要時間を4万時間まで延ばせたというLEDメーカーの声もある。ちなみに,4万時間の素子寿命は,照明機器の設計寿命と同じなので,照明機器を使っている間は白色LEDを交換する必要がなくなる。
ガラス材料を用いると,シリコーン樹脂以上に劣化が抑えられるとされる。豊田合成などが手掛けており,セラミック基板上にAuバンプを設け,その上に青色LEDチップを実装し,青色LEDチップ全体を黄色蛍光体を混ぜた無機ガラス材料で封止する。すべて無機材料で構成しているため,信頼性が高いという。