半導体素子において,素子内部の温度のこと。LEDの場合,チップ内の発光層(pn接合の間に多重量子井戸構造を設けた個所)における温度を指す。LEDチップの発光層は,点灯中に温度上昇する。接合温度が高くなるほど,一般に発光効率は低下する。LEDは投入電流を増やすほど光束は増えるものの,発熱量が大きくなる。発光層の温度(接合温度)が高くなることで発光効率が低下し,それが電力損失を増やしてさらに接合温度が上がるという悪循環が起きてしまう。LEDチップを実装するパッケージや,そのパッケージを実装する基板の熱抵抗を下げることにより,チップで発生する熱を逃がし,接合温度を上げない工夫を加えることで,より明るくできる。

 接合温度は,熱抵抗と投入電力の積と,環境温度との和となるので,接合温度の最大定格を高めれば,非常に高い環境温度になってもLEDは駆動する。例えば,白色LEDの中には,LEDチップの許容できる接合温度が+185℃と高い品種もある。接合温度は,LEDの点灯のさせ方で大きく変わる。例えば,LEDをパルス駆動(LEDに間欠的に電流を投入して駆動,間欠点灯となる)させると接合温度は高まりにくく,一方LEDを連続駆動(LEDに定常的に電流を投入して駆動,連続点灯となる)させると接合温度は上昇しやすい。

 接合温度の最大定格を上げたLEDチップを使えば,実装する場合にさまざまな設計上のメリットが生じる。例えば投入電力を増やせるので出力を高めることができる。あるいは,基板のヒートシンクを小型にするといったことも可能になる。

チップに熱がこもると光強度が低下
チップに熱がこもると光強度が低下
白色LEDに搭載するLEDチップの発光層は,点灯中に温度上昇する。一般に接合温度と呼ばれる発光層部分の温度が上がると発光効率が落ち,電力を投入しても明るくならない。LEDチップを実装するパッケージやパッケージを実装する基板の熱抵抗を下げることにより,チップで発生する熱を逃がし,接合温度を上げない工夫を加えることで,より明るくできる。(図:ドイツOSRAM Opto Semiconductors GmbHの資料を基に本誌が作成)