自然光が当たったときと同じような色を,照明の光で物体を照らしたときにどの程度再現しているかを示す指標。一般的には平均演色評価数(Ra)を使って表す場合が多い。平均演色評価数が高く100に近い光源ほど,自然光が当たったときと同じような色を再現できる。照明用途の場合,一般家庭やオフィスの室内で使う照明でRaが80以上,廊下などでは70以上,美術館や検査,さらには店舗など演色性を気にする用途向けで90以上が向くとされる。 

 照明用に使われる白色LEDは,Raが低い品種とRaが高い品種におおよそ分かれる。発光効率とトレードオフの関係であり,演色性を優先するほど発光効率は20~30%落ちてしまう。このため,発光効率優先の品種と演色性優先の品種に分かれる傾向がある。

 例えば,青色LEDチップと黄色蛍光体を組み合わせて疑似的な白色光を得る一般的な白色LEDは,Raが70台にとどまる。これに,赤色蛍光体を追加するなど,赤色発光を加えることでRaを80以上に高くすることが可能である。Raが90を超える白色LEDは,青色LEDに緑色蛍光体と赤色蛍光体を組み合わせるなど,発光スペクトルがより滑らかに変化するように配慮している。このほか,近紫外LEDに赤色や緑色,青色など複数種の蛍光体を組み合わせることでもRaが90を上回る白色LEDを得られる。

 Raは,一般に存在する代表的な8種類の色に対する演色評価数(評価したい照明を当てたときの物体の色を,基準光源を照射したときと比較した値)の平均値である。演色評価数を求める代表的な色は,暗い灰色,暗い黄,深みのある黄緑,黄みの緑,薄い青緑,薄い青,薄い紫,赤みの紫の8種類。

高効率・高演色LED
高効率・高演色LED
現在はサファイア基板を使った青色LEDと黄色蛍光体という白色LEDパッケージが主流だが,三菱化学はm面-GaN基板を使った近紫外LEDと赤/緑/青色(RGB)の蛍光体の組み合わせで高効率・高演色のLEDの実現を狙う。