照明の全光束を器具全体の消費電力で除したもの。一般にLED照明は電源での損失や温度上昇の影響があるため,照明器具全体での発光効率(総合効率)はLED単体の発光効率に対して30~50%低下してしまう。

  白色LEDを例に,LED単体の発光効率よりもLED照明器具の総合効率が低下する理由の詳細は次の通り。まず白色LEDを照明器具に使う場合,発光効率が白色LEDのカタログ値よりも大きく落ちることが多い。カタログ値はパルス状の電流を投入し,LEDの発光する部分(活性層)がほとんど温度上昇しないという理想状態での発光効率が多いからである。しかし,照明器具はLEDに定常的に電流を流した状態で使うので,実際には活性層の温度は上昇する。これを考慮すると,発光効率は約20%低下するとされる。さらに,交流電力を直流電力に変換し,LEDに電力を供給する電源回路で10~15%程度の電力低下が生じる。照明器具では反射板やレンズを設けて光源の光を所望の配光にするため,この過程で10%近くの光が失われてしまう。それらを掛け合わせると,照明器具全体での発光効率は,光源のみのカタログ値に比べて40%程度低くなる。

  だが,ここにきて総合効率で80lm/W以上という製品も珍しくなくなってきた。総合効率が100lm/W弱とされる高効率の高周波点灯(HF)型の蛍光灯にはまだ及ばないものの,蛍光灯の背中は既に見えている。例えば,2009年に東芝ライテックが発表したLED電球の新製品は,総合効率で81.9lm/Wを誇る。

器具効率で蛍光灯を上回る
白色LEDを照明器具に使う場合,発光効率が白色LEDのカタログ値よりも大きく落ちる。カタログ値はパルス状の電流を投入し,LEDの発光する部分(活性層)がほとんど温度上 昇しないという理想状態での発光効率である。しかし,照明器具はLEDに定常的に電流を流した状態で使うので,実際には活性層の温度は上昇する。光源の光がすべて器具外に放出されるわけでもない。照明器具全体での発光効率は,光源のみのカタログ値に比べて40%程度低くなる。
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