青色LEDや白色LEDで標準チップといえば,パッケージ内に収めているLEDチップ寸法はおおよそ一辺200~300μmである。正方形や長方形など,用途によって形状が異なる。例えば,小型液晶パネルのバックライト光源に使う白色LEDには,長方形型の青色LEDチップを搭載することが多い。

  標準チップに対し,チップ寸法が1mm角と面積が標準チップの10倍という大型チップもある。さらに,大型チップと標準チップの中間の大きさである「ミディアム」と呼ばれるチップも増えてきた。

  かつて標準チップは投入電力1Wを超えるような照明や大型バックライト向けのLEDには利用せず,そのような用途では大型チップを使ってきた。しかし最近では,標準チップを多数個実装して明るさを稼ぐ方法(マルチチップ・タイプ)が目立ってきた。照明用途で現在最も多く使われる投入電力1W級の品種から,投入電力10W超の品種まで実現しており,大型チップを用いる方法と競争を繰り広げている状況だ。LED電球でもマルチチップ・タイプが用いられており,例えば東芝ライテックが2010年1月に発表した品種では56個を1パッケージに収めた白色LEDを用いている。

  マルチチップ・タイプと大型チップ・タイプはそれぞれ一長一短がある。使う側の照明器具メーカーやユーザーから見ると,マルチチップ・タイプは白色LED間の色バラつきの少なさや放熱面の広さが長所だ。LEDチップには,いまだに発光波長のバラつきがある。

複数チップの重ね合わせでバラつき低減
大出力白色LEDの実現手法には,1mm角といった大きな青色LEDチップを使う手法と,0.3mm角程度の小さな青色LEDチップを複数個まとめて1パッケージに収める方法がある。小さなLEDを複数個使うと,パッケージに封止する青色LEDチップの発光特性がバラついても,それぞれのチップの発光スペクトルを重ね合わせるとパッケージ間で差が出にくくなる。
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