現在販売中の青色LED
現在販売中の青色LED
ロームの青色LEDを発光させたところ。

 青色に発光するダイオードのこと。発光波長の中心は470nm前後である。イルミネーションやインジケーターなど青色に表示する部分の光源やLEDディスプレイの青色光源,液晶パネルのバックライト光源などに使われる。蛍光体と組み合わせることで白色光を得られる。現在の白色LEDは,青色LEDと蛍光体を組み合わせた構成を採るのが一般的である。

 青色LEDが広く使われるようになったのは,日亜化学工業が1993年12月に光度1カンデラ(cd)以上と明るい品種を業界で初めて開発したことがきっかけとされる。それまでは青色の純度が高く,かつ実用的な光度を備えたLEDはなかった。このため,例えばLEDを使う大型ディスプレイではフルカラー表示ができなかった。

 青色LEDの材料には,窒化ガリウム(GaN)系半導体が使われる。かつてはセレン化亜鉛(ZnSe)系半導体を使う青色LEDが盛んに研究開発されたが,1993年12月にGaN系半導体の高輝度青色LEDが開発されて以来,青色LEDの主流はGaN系半導体になった。

 青色LEDの構造は,サファイア基板あるいはSiC基板などの上に,窒化アルミニウム(AlN)半導体層やGaN系半導体層を積み重ねたもの。青色光を発する活性層と呼ばれる部分には,p型GaN系半導体層とn型GaN系半導体層を重ねた構造を設けている。

 pn接合は,高輝度のLEDを作製する際に必ず採用しなければならない構造である。GaN以外の材料を使う赤色などのLEDでは,かなり以前から主流となっていた。しかし1993年に高輝度青色LEDが登場する以前は,GaN系材料でpn接合を実現することが難しかった。n型GaN系半導体層は比較的簡単にできるが,p型GaN系半導体層の作製が困難だったためである。以後,p型GaN系半導体層とn型GaN系半導体層の間に配置するGaN系半導体層に多重量子井戸構造を採用し,さらにGaN系半導体層の品質改善が加わり,光度は大きく向上していった。

ロー・ビームに白色LEDを5個使用