LEDを画素として縦横に並べ,文字や映像を表示できるようにするディスプレイのこと。赤色(R),緑色(G),青色(B)のLEDで一組の画素を構成すれば,フルカラー表示ができる。さまざまな電光掲示板にLEDディスプレイは使われている。青色LEDが開発されるまでの長い期間,LEDディスプレイはフルカラー表示ができなかった。
LEDディスプレイが担ってきたような街角の看板などは今,デジタル・サイネージと呼ばれて注目を集めている。デジタル・サイネージは,街角の看板やポスターを電子化して動画を表示可能にしたもの。欧米を中心に,2004年ごろから年率20%超で市場が拡大している。駅や繁華街,ホテル,ファストフード店に設置したり,各種の自動販売機などに内蔵したりする形が多い。以前からLEDディスプレイに代表される超大型の電光掲示板はあったが,最近は液晶パネルやプロジェクター技術を用いた中小型のディスプレイが増えているのが特徴である。
各種ライバルがしひめく
LEDディスプレイが担ってきた超大型の電光掲示板では,LEDに代わる技術が出てきている。例えば,超大型のフレキシブル・ディスプレイが可能な,篠田プラズマの「PTA(plasma tube array)」がある。その構造は,非常にシンプルである。まず,直径1mmのガラス・チューブ内に,放電ガスやRGBそれぞれの蛍光体などを封止した「プラズマ・チューブ」を用意する。このチューブを並べて上下からフィルム状の電極で挟み込む。電圧を印加すると,電極が交差する個所が放電し発光するという仕組みだ。発光原理は現行のPDPと同様で
あるが,ガラス基板を使う現行のPDPと異なり,極めて薄く軽くなる。
また,三菱電機はデジタル・サイネージ向けに有機EL素子を用いた大型ディスプレイを開発している。外形寸法が96mm×96mm,画素数が256,画素ピッチが約3mmであるパッシブ・マトリクス駆動の有機ELパネル4枚を,1ユニットとする。これを縦横に張り合わせて,大型化を実現する。有機ELパネルは,画素構造がRGBの3色のサブピクセルをストライプ状に配列している。同社の大型LEDディスプレイに比べると,約1/4の薄さを実現し,かつ湾曲した壁や柱などへの設置も容易であるという。有機ELパネルの配列を変えることにより,画面寸法やアスペクト比を自由に構成できる。篠田プラズマのPTAと同様の利点がある。