R(赤色),G(緑色),B(青色)のLED,あるいは白色LEDを光源に利用したプロジェクターのこと。従来の光源である高圧水銀(UHP)ランプの代わりにLEDを利用することで,さまざまな利点が生じる。例えば寿命。一般に1万時間前後で交換が必要になるUHPランプに対し,LEDは倍以上長持ちする。そのほか,瞬時のフル点灯が可能,水銀フリーになるなどの利点が挙げられる。

  LED光源を採用する前面投射型プロジェクターの最大の特徴となりそうなのが,小型かつバッテリー駆動が可能になる点である。ハガキとほぼ同じ大きさの製品もある。高電圧の供給が不要になり,電源回路や放熱機構などが簡易になるほか,従来は光源からの白色光をRGBに分離するために備えていたカラー・ホイールなどが不要になるため。現在,各社の開発が進んでおり,例えば単板の透過型液晶パネル用いたものやDMDなどの反射型表示素子を利用したものがある。

  LEDプロジェクターは持ち運び容易な超小型品から,ノート・パソコンやデジタル・カメラ,携帯電話機といった携帯機器に組み込む使い方まで,さまざまな形態が採れる。電池駆動可能で,ポケットに入るほど小さい外付け型のプロジェクターは,携帯型メディア・プレーヤーに接続し,映像を大画面で投射して複数人で視聴するといった娯楽用途や,ノート・パソコンに接続してプレゼンテーションに使うようなビジネス用途などを想定する。このような小型プロジェクターは「ピコ・プロジェクター」と呼ばれる。

  ピコ・プロジェクターが今後,順調に普及するための課題はいくつかある。小型化,低消費電力化,コスト削減という三つの技術的な課題のうち,小型化の切り札とされるのがレーザ光源である。現在主流のLEDに比べて出射する光が広がりにくく,光学系をさらに小型化しやすい。

LED光源がもたらす主な特徴
光源がUHPランプからLEDに変わることで得られるプロジェクターの特徴を五つにまとめた。
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