蛍光灯代替を狙った,直線形状のLED照明。LED照明市場へ新規参入した企業の多くが,蛍光灯型製品を発売している。蛍光灯型LED照明は取り付け方法によって(1)既設の安定器/インバータを取り外して専用のコンバータに置き換える,(2)既設の安定器/インバータを取り外して配線を直結する,(3)既設の安定器/インバータは取り外さずそのまま取り付ける,の3種類に大別できる。(1)と(2)は資格保有者による電気工事が必要。(2)の場合,コンバータは直管内の発光部背面に内蔵されている。(3)は工事不要で容易に取り付けられるが,安定器やインバータでの電力損失があるため総合効率では不利となる。

 省エネという面は,総合効率はHF型蛍光灯には及ばない。米DOE(Department of Energy)は,CALiPER(commercially availableLED product evaluation and reporting)という製品評価プログラムでLED照明製品の性能を評価しているが「蛍光灯代替としては性能が不十分」と報告している。日本でも日本電球工業会が,国内で発売されている製品の評価結果を2009年7月に公表した。その中でも,省エネ性能について蛍光灯代替の光源とはいえないと結論付けている。安全性についても,質量がJISの許容限度を超えていることから衝撃や振動などによる脱落を懸念している。しかし,蛍光灯型LEDについて効率や質では蛍光灯を代替できなくても,手軽なものを求める需要があるために,市場の一角を占めるとの見方がある。

蛍光灯代替の直管型LED照明と蛍光灯の比較
日本電球工業会の調査結果によると,総合効率でHF型蛍光灯に迫るLEDもあるが,非常に低いものもある。質量は全体的に蛍光灯より重く,JISで規定している500gを超えるものもある。
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