発電事業者の発電施設から,送電,変電,そして個別の需要家(企業や工場,一般家庭)に至るまで,通信/IT技術を積極的に活用して各種の課題を解決することを目指したコンセプトを指す。スマートグリッドへの取り組みが活況を呈しているのが米国である。電力事業者や電力設備系企業のみならず, IT系メーカーや半導体メーカー,通信事業者まで,その取り組みを盛んに喧伝する状況にある。

 スマートグリッドの具体的な用途は多種多様だ。送配電網の各所にセンサを設置して停電などの障害をいち早く検知するといったことから,太陽光発電などの再生可能エネルギーを電力系統に接続する際の制御,電気自動車やプラグイン・ハイブリッド車に向けたインフラ整備,電力利用のピーク時に家庭や事業所の電力利用を調整する「デマンド・サイド・マネジメント」,さらにこうした制御を可能にするためのネットワーク制御型のメーター「スマートメーター」などがある。いずれも,通信技術を積極活用する点で共通する。

 例えばスマートメーターは,電力メーターに広域無線と,近距離無線/電力線通信機能を組み込むことで,遠隔検針や宅内機器制御を実現するという狙いで進められている。