MEMSでは厚い金属膜を堆積することが多く, PVDやCVDより成膜速度が速いメッキや電鋳がよく利用される。

 ウエット・プロセスで液相から金属などを堆積するメッキ技術がある。電解メッキと無電解メッキとがあるが,通電して金属などを析出させる電解メッキはMEMSでよく用いられる。

 レジストを鋳型にして金属をメッキし,構造体を作る技術を電鋳(photo electroplating)という(図1)。工業的には非常によく使われる技術で,電気ひげそり機の小さな穴が開いた板刃なども電鋳で作られている。PVDやCVDに比べて厚い膜を速く安価に作ることができるので, MEMSでもよく利用される。

図1 電鋳(photo electroplating)
図1 電鋳(photo electroplating)

 MEMSでは,メッキでガラスに貫通配線を形成することが多い。図2は,パイレックス・ガラスにNiのマスクを付けて,RIEで穴を開けている。Crをスパッタリングした後,フォトレジストを接着層にして下からパイレックス・ガラスを張る。このパイレックス・ガラスにはAu/Crが付いている。この状態で上から光を当てて,溝の底の露出しているレジストだけを取り去る。これをメッキ液に入れると,下のガラスのAu/Crをシード層にしてNiメッキが成長して貫通配線ができる。

図2 パイレックス・ガラスのDeep RIEとメッキによるガラス貫通配線
図2 パイレックス・ガラスのDeep RIEとメッキによるガラス貫通配線