重りをバネで支えた構造を作り, 加速度が加わったときの重りの変位を静電容量などの変化から計測するセンサー。

 1991年,Analog Devices社から集積化容量型加速度センサーという製品が発表された(図1)。

図1 集積化加速度センサー(米Analog Devices社)
図1 集積化加速度センサー(米Analog Devices社)

 図2の拡大図では,UC Berkleyで開発された多結晶Siの表面マイクロマシニングで作った加速度センサー,つまり重りをばねで支えた構造を見ることができる。この重りの動きを静電容量で検出する回路がそばに入っているため,チップを小さくでき,感度も高くできた。1Å程度の動きでも検出できるといわれている。

図2 重りをバネで支えたセンサー部(米Analog Devices社)
図2 重りをバネで支えたセンサー部(米Analog Devices社)

 チップが小さいということは,値段が安くできることでもある。当時,加速度センサーは1個何千円程度だったのだが,このMEMSセンサーは400円ぐらいで販売できたそうである。MEMSは多品種少量生産になりやすいといわれるが,この加速度センサーのように標準化しやすい製品については,半導体製造技術の量産効果を生かして,安く大量に作ることができる。

 また,安くなったために,用途が広がった。ボクシングのグローブの動きを加速度センサーで取り込んでゲーム機に利用するとか,ノート・パソコンが机から落ちたときにハード・ディスク装置のヘッドを退避させる用途に使うなど,新しい応用が広がっている。