高い集積度を持つ高性能なLSI(large scale integration)を設計するためには,EDA(electronic design automation)技術を用いることが必須である。EDA技術の歴史は長く,LSIの設計手法の進化と製造技術の微細化に伴って対象とする領域も広がり,要求される最適化能力や精度も高水準になってきた。

 この改訂版EDA用語辞典では,LSIの設計に用いるEDA技術に関連する各種の用語を解説する。用語は8つのカテゴリ(部)に分けた(図1)。各カテゴリのカバー範囲は以下の通りである。

【図1 LSI設計フローとEDA用語】 出典は大阪大学と日経BP。
図1 LSI設計フローとEDA用語
出典は大阪大学と日経BP。
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 「システム・レベル設計・検証」のでは,LSIの設計フローの最上流に対応する,システム・レベルでの設計・検証に関連した用語の解説を行う。「機能設計・検証」では,デジタル回路の論理設計と検証に関連した用語について解説する。「回路設計・検証」では,アナログ回路の設計と検証に関連した用語を扱う。「物理設計・検証」では,LSIのレイアウト設計と検証に関連した用語を解説する。

 さらに,「タイミング設計・検証」では、遅延時間に関連した設計と検証、「低消費電力設計」では、LSIの低消費電力化に関連した用語の解説を行う。また,「テスト設計」では,製造後にLSIの良品/不良品の選別を行うテストに関係した用語に関して説明している。

 この用語辞典の特徴の一つは,EDA技術の「標準化」に関連した用語も解説している点である。EDA技術の標準化は,複数のEDAツールの間で設計データの交換を円滑に行うために必要である。また,EDA技術に対しては,システム・レベル設計,機能設計,物理設計,テスト設計など多岐にわたるエンジニアや研究者が関係を持つ。EDA技術の標準化は,これらのエンジニアや研究者が共通のインタフェースで設計情報を交換するためにも重要な役割を果たしている。