patent troll

 自らが保有する特許に抵触している大手企業などを見つけ出して巨額の賠償金やライセンス料の取得を狙う企業や個人を,批判的な意味を込めて呼ぶ場合にしばしば使われる言葉。特に,特許権を個人の発明家や企業などから買い取ったり,特許のオークション市場を利用したりすることで特許権を取得する企業などを,パテント・トロールと呼ぶ場合が多い。ただし,明確な定義はない。総じて,業界の調和を乱すような形で特許収入を得ようとする企業や個人を表現していると言える。トロールとは,北欧の伝承に登場する奇怪な妖精のことである。

 似た言葉に,「NPE(non-performing entities,非遂行事業体)」がある。NPEは,特許権を受けた発明を実施しない企業や個人のこと。特許権を互いに許諾し合うクロスライセンスを結ぶことができないため,巨額のライセンス契約が必要になる可能性がある。NPEに当たる企業や個人をパテント・トロールと表現するケースもあるが,研究機関や大学など,特許発明を原則実施しない機関がライセンス契約を要求する場合もあり,一概には言えないのが現状である。

 パテント・トロールへの対策として,例えば特許プールによって多数派を組織する方法がある。個別にライセンス交渉することが「割に合わない」と特許権者に思わせることを狙っている。