(highly accelerated life testing)

 エレクトロニクス機器に激しい温度変化と強い振動を与え,意図的に壊すことで,機器に内在する欠陥を探る試験手法。一般的な温度サイクル試験のように機器の使用環境を模擬するのではなく,壊すことを目的に,むき出しにしたプリント基板上に熱風や冷風を直接吹き付け,同時に強烈な振動を加える。見つかった欠陥に対し,機器の開発段階で対策を施すことで,出荷後の市場での故障率を低減できる可能性がある。合否判定のための試験ではなく,機器設計のためのツールという位置付けになる。

 HALTの利点は,DVT(design verification testing)を繰り返す従来の手法に比べて機器の開発期間を短縮し,量産出荷時期を前倒しすることができる点である。さらに,機器の弱点を事前に対策しておくことで市場での不具合も減らせる可能性がある。これによって,量産出荷後の不具合対策に掛かるコストを削減できる。

 DVTは高温高湿試験や振動試験などの複数の環境試験から成り,試験時間は1種類で数百時間,全体では数カ月に及ぶ。この際,途中で不具合が見つかると,機器を改良した後に再び試験をやり直す必要がある。これらの繰り返し回数は機器によって異なるものの,既存品を改良する場合で数回,新規に開発する製品では数十回に上るという。

 一方,HALTは強い環境ストレスを機器に与えるため,3~5日という短期間で機器の弱点を洗い出せる。加えて,弱点を事前に対策しておくことで,DVTの繰り返し回数を大幅に削減できる可能性がある。