ソニーが開発した近接無線技術。物理層での最大データ伝送速度は560Mビット/秒で,実効的なスループットでも375Mビット/秒を実現できる。定期券やプリペイド・カードなどに利用されている非接触ICカードの「FeliCa」のような使い勝手で,デジタル・カメラの画像をテレビに直接転送するといったことが可能になる。

 伝送には,遠方まで伝搬する電波と異なり,波長より短い距離にしか届かない近傍界の電界を利用する。最近増えてきた「静電容量型」のタッチ・パネル技術に近く,磁界を利用するFeliCaとはやや異なる技術である。周波数は4.48GHz帯で,波長が約6cmであるため,通信距離は波長の1/2の約3cm以下に限られる。それ以上離れると,ほとんど電界を検出できなくなる。

 2008年7月に,ソニーやキヤノンなど15社はTransferJetの相互接続仕様を確立するためのコンソーシアム「TransferJet Consortium」を設立した。TransferJet搭載機器が相互接続性を確保するための規格・ガイドラインの策定や,ライセンス・スキームの確立,ロゴ管理などを行う。2008年7月時点の参加企業は,ソニー,キヤノン,米Eastman Kodak Co.,日立製作所,日本ビクター,KDDI,ケンウッド,松下電器産業,ニコン,オリンパスイメージング,パイオニア,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.,セイコーエプソン,日スウェーデン合弁Sony Ericsson Mobile Communications AB,東芝の15社。開発元であるソニーが事務局長を務める。