電気や石油,ガスなどエネルギーを使う製品のライフサイクルにおける環境負荷の評価とその低減を狙った欧州の環境規制である。EuPは,Directive on Eco-Design of Energy-using Productsの略。CEマークの取得要件となる。環境負荷の大半が設計時に決まってしまうことから,環境に配慮した設計を促すことを主目的としている。対象となるのは「深刻な環境影響がある」「環境影響に大幅な改善の余地がある」「EU内で相当の取引量(目安は20万個以上)がある」の条件を満たす製品や部品。輸送機器は除外されており,電機・電子機器が主体となる。

 EuP指令は,一般要求事項と特定要求事項の二つの要求から成るのが特徴である(図)。前者はライフサイクルにおける環境負荷すなわち実質的にLCAを求めたもの。その結果は「エコロジカル・プロファイル」として保持し,必要に応じて消費者や欧州委員会に開示しなければならない。一方,特定要求事項は使用時の電力などの環境負荷を定量的に規制する。

 同指令は既に発効されているが,基本的事項だけを要求する「枠組み指令」のため,製品品目ごとの具体的な規制内容である「実施措置」が決まってから運用される。現在,製品品目ごとの実施措置の検討が大詰めに入っており,2008年末から2009年にかけて順次採択される見通しである。

図 EuP指令の構造
図 EuP指令の構造
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