アニメーションや立体表示など,Webブラウザーの表現力を大幅に高める技術として米Adobe Systems Inc.が提供している。元々,ベクター・グラフィックスに基づくアニメーションをWebブラウザーで表示する仕組みとしてスタートした。プログラミング機能の追加や,動画再生への対応などを徐々に加えたことにより,Webブラウザー向けのコンテンツ記述言語であるHTMLがカバーする範囲を大きく超えたユーザー・インタフェースやコンテンツ再生を可能にする環境に育ってきた。「RIA(rich internet application)」と呼ばれる技術の代表格である。

 Webコンテンツの中に埋め込まれたFlashコンテンツの再生には,あらかじめ「Flash Player」というソフトウエアをインストールする。Adobe社によると,Flash Playerをインストールしたパソコンは7億台を超え,その普及率は95%に上るという。

 組み込み向けにはFlash Playerを軽量化した「Flash Lite」を用意しており,携帯電話機のメニュー画面などのアニメーション再生にも使われている。NTTドコモの2008年夏モデルで採用された最新版のFlash Lite 3は,従来のFlash Lite 2に比べ,パソコン用Flashとの互換性が高めた点が特徴だ。一部機種では「フルブラウザ」上で利用できる形で組み込まれており,パソコン用Webコンテンツをそのまま携帯電話機で利用できる。