映像や音声などのコンテンツを一意に識別する技術。人間の指紋や遺伝子などのように特定のコンテンツを同定できる点からこのように呼ばれる。

 通常は,映像なら輝度信号や色差信号,ステレオ音声なら左右の音声信号などをパターン化する。このパターンが指紋データである。映像や音楽がさまざまな形で流通したとしても,この指紋データをあらかじめ登録済の指紋データと照合することで,コンテンツを一意に識別できる。

 電子指紋技術の特徴は主に三つある。(1)符号化方式が変わってもコンテンツを特定できること,(2)拡大/縮小,変形,切り出しに対応すること,(3)ユーザーが利用する機器を変更する必要がないこと,である。

 こうした特徴により,ユーザーに負担を掛けることなく,動画共有サイトなどのコンテンツにおいて,創作者は誰か,流通の権限を持つのはどの企業か,などの情報を得ることができる。この情報を基に,広告料や視聴料で得た収益を分配することが可能になる。現在,ハリウッドの映画会社などが音声や映像の著作権管理に使おうと検討を進めている。

電子指紋技術の一般的な利用形態と応用範囲を示した。あらかじめ元のコンテンツから指紋データを計算しておき,特定したいコンテンツの指紋データと照合する。符号化方式の変更や拡大/縮小などを行っても,多くの場合はコンテンツを特定できる(a)。著作権管理では,流通するコンテンツを特定して権利者らに利益配分するときに利用できる(b)。
電子指紋技術の一般的な利用形態と応用範囲を示した。あらかじめ元のコンテンツから指紋データを計算しておき,特定したいコンテンツの指紋データと照合する。符号化方式の変更や拡大/縮小などを行っても,多くの場合はコンテンツを特定できる(a)。著作権管理では,流通するコンテンツを特定して権利者らに利益配分するときに利用できる(b)。
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