あるファイル形式に圧縮(符号化)された映像データなどを,別の符号化形式に変換したり,符号化データ速度のみを変換したりすること。主に動画映像の変換に用いる。

 トランスコード処理用のLSIは一般に,汎用のプロセサ・コアと特定の符号化/復号化方式に対応した専用処理回路とを組み合わせる構成を取る。消費電力,コストの面では専用処理回路に分がある。一方で多様な符号化方式に対応する柔軟性では,高速のプロセサを使ってソフトウエアで処理する方式が有利である。処理の分担とバランスの決め方はLSIを搭載する機器の用途や許されるコストで変わる。
 
 最近では,地上デジタル放送のMPEG-2方式HDTV映像データを,MPEG-4 AVC/H.264(以下,H.264)方式にリアルタイムでトランスコードする機能を備えたDVDレコーダーが,家電メーカー各社から登場している。データ容量をMPEG-2と比べて1/2~1/4に圧縮して録画することで,HDDや光ディスクの容量を据え置いたまま,より長時間の映像データを記録するためである。