機器で生じる余剰なエネルギーを回収し,電力として再利用する技術のこと。機器のエネルギー効率を高められる。

 現在,モータによる電力回生が主流である。当初,大型モータを備える機器で採用が始まった電力回生だが,現在では出力の低い機器にも浸透しつつある。電車にモータでブレーキをかけた際に発生する電力を架線に戻す技術として採用が始まった。その後,100kWを越える出力が必要な産業機器や工作機器などの間で広まってきた。

 モータに電気を流すと,モータが回転する。逆にモータの回転軸を回すと,モータで電気が発生する。モータによる電力回生では,この原理を利用する。例えば,ハイブリッド車ではモータで車両を減速させる。このとき,モータで発生した電力を蓄電装置にためて,次に加速する際に使うことで燃費が向上する。

 モータを使った電力回生は二つに大別できる。(1)外部に電力を戻す方式と,(2)機器に搭載した蓄電装置に回生電力を蓄電する方式である。

 このほか,最近ではAC-DCコンバータのスイッチング電源で発生するサージ電圧を回生する方式も実用化されている。

図1 電力回生の種類
図1 電力回生の種類(日経エレクトロニクス2007年10月22日号より抜粋)

図2 3相モータの駆動方法と電力回生方法
図2 3相モータの駆動方法と電力回生方法(日経エレクトロニクス2007年10月22日号より抜粋)