A-D変換器の一種。多数のコンパレータ(比較器)を並列に並べてアナログの入力信号を,基準信号と一斉に比較する。一回の比較でアナログ値をデジタル値に変換することができる。並列型,並列比較型などと呼ぶ場合もある。

 コンパレータ(比較器)と,参照信号を出力する抵抗のラダー回路で構成しており,オペアンプを利用しないで構成できる。コンパレータにおいて,アナログの入力信号と参照信号の信号レベルを大小比較し,「1」または「0」を出力する。コンパレータを多数並列に並べることで,測定の分解能を高める。一般に,分解能がnビットの場合には,2n-1個のコンパレータが必要になる。また分解能に合わせて,ステップ幅の小さい参照信号を用意する必要がある。このため,分解能を高める際には,コンパレータのオフセット電圧と,抵抗の相対精度が課題となる。

 フラッシュ型A-D変換器は分解能を高めようとすると多数のコンパレータが必要となり,回路規模および消費電力が増大するという課題があった。ところがCMOSプロセスの微細化が進んだことで,ハードルが下がった。コンパレータとデジタル回路だけで実現するというシンプルな構成のため,プロセス微細化によってコンパレータの動作速度を高めることなどによって,標本化速度の高速化や広帯域化を図れる。