content scramble system

 DVDの映画タイトルなどを不正コピーから守るための暗号技術。一般ユーザによる気軽なコピーを防ぐ目的で開発されたもので,DVD-Video媒体が採用している。機器メーカーはCSSのライセンス契約を結び,その条項に基づいた仕掛けを機器などに盛り込む。

 1996年に,CSS技術を導入した再生専用のDVD-Videoの映画タイトルが発売された。1999年には,いわゆるCSS破りのソフトウエア「DeCSS」などが登場した。DeCSSの場合,DVDの映像データの暗号化を解除し,CSSに対応していないHDDに録画し,再生できるようにする。

 CSSをライセンスする米DVD CCA(Copy Control Association)は,2006年8月に,ダウンロードした映像コンテンツをCSSで暗号化してDVD-Rに保存することを許可する,と発表した。

 CSS方式は,3種類の鍵を階層的に組み合わせてコンテンツを保護する。CSS管理機構が管理するMaster Keyと,著作権者が任意で決めることができるDisk KeyおよびTitle Keyである。Master Keyは複数あり,DVDプレーヤは機種ごとに固有のMaster Keyを保有し,暗号の解除に使う。実際の暗号化の仕組みは以下の通り。まず,コンテンツ・データをTitle Keyを使って暗号化し,ディスクに格納する。Title KeyはDisk Keyで暗号化してディスクに格納する。同じくDisk KeyはMaster Keyで暗号化してディスクに格納する。この際に,どのDVDプレーヤでもDisk Keyにかかった暗号を解除できるように,あらかじめすべてのMaster Keyを用いてDisk Keyを暗号化して,Master Keyと同数の「Disk Keyセット」を作り,ディスクに格納する。もし一部の機器でMaster Keyの中身が漏れてしまった場合,それ以降に作るDVD-Video媒体には,漏れたMaster Keyを除いたMaster KeyでDisk Keyセットを作り,ディスクに格納する。これにより,漏れたMaster Keyを使ってもDisk Keyにかかった暗号を解くことができなくなる。

図 CSS方式によるコンテンツ暗号化の仕組み
図 CSS方式によるコンテンツ暗号化の仕組み(日経エレクトロニクス2004年11月22日号より抜粋)