生活の中で用いる製品が,消費者の生命/身体に危害を及ぼすの防ぐために制定された法律。危険とみなされた製品の製造/販売の規制や,製品の安全性確保に向けた業者の自主的な取り組みの促進を目的とする。ガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故の多発や,シュレッダーによる幼児の指切断事故の発覚を受け,同法の改正が2006年11月29日に成立,12月6日付けで公布され,2007年5月14日に施行された。

 同法は,製品の安全性確保に関する最も強力な権限である「危害防止命令」を規定している。同法第82条では,製品の欠陥により消費者の生命/身体に重大な危害が発生した場合,あるいは発生する急迫した危険がある場合に,製品の回収を業者に命令できるとしている。この危害防止命令(法改正前は「緊急命令」)を経済産業省が初めて発動したのは,2005年11月のこと。4件のCO(うち1件は1名死亡)を起こした松下電器産業の温風暖房機が対象になった

 このほか同法では,特に消費者の生命・身体に対して危害をおよぼす恐れがある製品については,国が定めた技術上の基準に適合した「PSCマーク」がないと販売できないと定めている。PSCマークによる認定が必要な製品(特定製品)には,登山用ロープ,家庭用圧力なべ/圧力がま,バイク用ヘルメット,乳幼児用ベッド,携帯用レーザ・ポインタ,浴槽用温水循環器がある。

 改正法では,メーカーや輸入業者は,製品欠陥の有無にかかわらず,製品に関連した死亡やけがに至る重大な事故の発生を知ってから10日以内に,監督官庁(経済産業省)に報告する義務を負う。経産省はこの報告を基に,WWWサイトなどで事故の状況を公表する。消費者への注意喚起が最大の目的なので,経産省による第一報ではメーカーや製品の具体的な名称は伏せられることになっている。

 対象は一般消費者が日常生活で利用する製品全般になる。例外は自動車のように,ほかに安全を規制する法律があるもの。一方,「業務用」をうたった製品でも,家電量販店やホームセンターなどで売られているなどして,容易に手に入るものは対象になる。

 製品の安全に関わる国内の法令には,このほかに電気用品安全法(PSE法),ガス事業法,家庭用品品質表示法などがある。

消費生活用製品安全法
(日経エレクトロニクス2007年5月7日号より抜粋)