技術経営 技術者が知っておきたい経営と市場の最新情報
 

ZnOとは

ゼットエヌオー/ジンクオキサイド

大下 淳一=日経マイクロデバイス
2006/06/01 21:00
出典:日経マイクロデバイス2006年6月号、 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
印刷用ページ

 「開発の進ちょくが最も気になる材料」。大手デバイス・メーカーの技術者がこのように語る材料がある。透明でありながら半導体の特性を持つ酸化亜鉛(ZnO)である。

透明TFTや白色LED向けで期待高まる

 酸化チタン(TiO2)や酸化インジウム(In2O3)など,「酸化物透明半導体」と呼ばれる同種の材料の中でも,ZnOへの注目度はとりわけ高い。多彩な用途で実用化できる見込みが出てきたためである(図1)。

 第1にフラットパネル・ディスプレイ(FPD)や太陽電池向け透明電極,第2にFPD駆動用の透明TFT,第3に白色LED向けの近紫外LEDである。透明電極では,原料のIn価格が高騰しているITO(Sn添加In2O3)を置き換え,コストを低減できる。透明TFTでは,光取り出し効率を高めてパネル輝度を向上できる。Si-TFTとは異なり可視光を吸収しないので,輝度低下の要因となる遮光膜を不要にできることによる。近紫外LEDでは「原理的に,GaN系青色LEDを発光効率でしのぐ」(ローム 研究開発本部 取締役 本部長の高須秀視氏)。量子効率が高い発光機構を利用するためである。

 これらの用途での実用化が見え始めた理由として,質の高い結晶成長技術と電気伝導の制御技術が確立し始めたことがある。透明電極向けでは,可視光に対する透過率が90%に近い透明性と,ITOに近い10−4Ωcm台の抵抗率を両立できるようになった。透明TFT向けでは,多結晶Si並みのキャリヤ移動度が得られるようになった。近紫外LED向けでは,従来は困難だったp型結晶の成長技術が確立され,発光に必要なpn接合の形成が可能になった。

大手デバイス・メーカーが開発に着手
図1 大手デバイス・メーカーが開発に着手
透明TFT向けでは,Ga2O3やIn2O3との融合材料の開発が盛んである。近紫外LEDは,pn接合からの発光のうち近紫外波長が材料に吸収される効果を,写真のケースでは抑制できていない。そのため青色発光している。そのほか,MRAM(magnetoresistive RAM)などの「スピントロニクス素子」への応用が検討され始めた。磁性元素を添加し,キャリヤのスピンの向きがそろった強磁性半導体にする試みである。表は取材を基に本誌が作成。写真は一番上が東京電波,そのほかが東北大学の川崎雅司氏のデータ。

【技術者塾】
実践で学ぶ!システム設計力強化トレーニング(9/2・3開催)

~複雑化する製品の設計情報を見える化し、品質向上と開発効率化を実現~


システム・サブシステムにおいて、要求⇒機能⇒実現手段の順に段階的に設計案を具体化しながら、各段階において異分野の技術が相互に与える影響や背反事項のすり合わせを行うことが重要です。また、元々日本企業が得意なすり合わせをより効率的・効果的に行うために、設計情報を見える化し共通言語とすることが必要です。これらにより、システム目標の未達や見落としを防ぎ、品質向上と開発効率化の実現を目指します。詳細は、こちら
日時:2015年9月2日(水)・3日(木)
いずれも10:00~18:00
会場:京王品川ビル セミナールーム(東京・品川)
主催:日経テクノロジーオンライン
コメントする
コメントに関する諸注意(必ずお読みください)
※コメントの掲載は編集部がマニュアルで行っておりますので、即時には反映されません。

マイページ

マイページのご利用には日経テクノロジーオンラインの会員登録が必要です。

マイページでは記事のクリッピング(ブックマーク)、登録したキーワードを含む新着記事の表示(Myキーワード)、登録した連載の新着記事表示(連載ウォッチ)が利用できます。

協力メディア&
関連サイト

  • 日経エレクトロニクス
  • 日経ものづくり
  • 日経Automotive
  • 日経デジタルヘルス
  • メガソーラービジネス
  • 明日をつむぐテクノロジー
  • 新・公民連携最前線
  • 技術者塾

Follow Us

  • Facebook
  • Twitter
  • RSS

お薦めトピック

日経テクノロジーオンラインSpecial

記事ランキング