spread spectrum clock generator

 周波数変調機能付きクロック発生回路のこと。spread spectrum clock generatorの略。クロック信号の周波数をわずかに変動させることで,クロック信号の周波数スペクトラムのピーク値を下げる。そのため,放射雑音を低減できる。

 変調をかけることで元のクロック信号と比較すると,信号の立ち上がりのタイミングを変動させるなど,ジッタを発生させていることになる。このジッタとSSCGの効果はトレードオフの関係にある。SSCGの効果を高めるには,変調度を大きくすればよいが,信号間隔がバラつくため,ジッタが大きくなる。

 SSCGはEMI対策部品では抑えることが難しい高調波成分の雑音を減らすために使う。中でも信号線や電力線と基準電位面との間に発生するコモン・モード雑音に効果がある。民生機器の中でも価格競争が激しい機器では,基準電位面の設計が難しい両面基板を使うことが多く,コモン・モード雑音は増加傾向にあるとされている。しかもマイクロプロセサの動作周波数も高くなる一方で,高調波雑音は大きくなりがちである。こうした機器にSSCGは利用されることが多い。

図 クロック信号の周波数を変動
図 クロック信号の周波数を変動
SSCGではクロック信号の周波数をわずかに変動させて供給する。クロック信号の周波数スペクトラムのピーク値が下がるため,これによる放射雑音を低減できる(a)。クロック信号は周期が変動する(b)。
日経エレクトロニクス2003年5月26日号より抜粋)