寸法や形状,材質,部品の固定方法など,設計パラメータとして検討したい因子が,性能や機能などの評価項目にどのような影響を与えるのかを調べる場合,いい加減な方法で実験しても正しい傾向を知ることはできない。精度良い結果を効率的に(安く,早く)得られるような実験を設計し,その実験で得られた結果を解析して結論を出すことを実験計画法と呼ぶ。実験を設計する部分だけを指す場合は,実験計画となる。

 実験計画には守るべき三つの原理がある。層別(局所管理)の原理,無作為(ランダム化)の原理,反復(繰り返し)の原理だ。

 層別の原理とは,検討対象として選んだ設計パラメータ以外の因子の変化(外乱)が実験結果に影響しないようにすることだ。そうしないと,実験結果が変化した原因が設計パラメータを変化させたことなのか,外乱によるものなのかを判断できない。その他の因子がなるべく変化しないようにコントロールするか,実験結果がその変化の影響を受けないように気を付ける。

 しかし,設計パラメータ以外の影響を完全に排除するのは不可能だ。気温や重力の影響を制御することは困難だし,そもそもどのような外乱があるのかをすべて把握することはできない。

 そこで2番目の無作為の原理が重要となる。これは,実験を実施する時間や場所,条件に差がある場合に,それらをランダムに振り分けるようにするということ。これにより,外乱の影響と設計パラメータの影響を分離できる。

 ただし,例えば似たような実験は続けてやりたい場合などには実験順番をランダム化することは難しい。また,外乱の影響が大きい場合には設計パラメータの影響は検出できなくなってしまう。

 これを解決するのが最後の反復の原理。設計パラメータを固定したまま複数回実験を繰り返す。もし実験結果が変化していれば,それは基本的に外乱の影響といえる。この結果を加味することで,設計変パラメータの影響をより正確に把握できるようになる。

 このような繰り返し実験を,1種類の設計パラメータのためだけに実施するのは効率が悪い。通常,設計パラメータは複数あるのだから,温度を固定した繰り返し実験の際に寸法を変化させてやり,また,異なる温度でも同様の寸法変化で繰り返し実験をすれば,実験が二つの設計パラメータの評価に使えるものになる。これを二元配置実験という。

 ただし,さらに設計パラメータの種類や水準の数が増えてくると,それらの組み合わせは膨大な数になる。例えば,2因子3水準であれば3×3で9回ですべての組み合わせを実験できるが,3因子3水準で27回,4因子3水準で81回,因子が10になると310となり6万回近くとなってしまう。

 少ない実験回数で目的を果たせる方法として,直交表が使われている。例えば直方体の寸法(高さ,幅,奥行き)を設計パラメータ,それぞれ3水準(長い,中間,短い)とした場合,通常では27回の実験が必要だが,L27と呼ぶ直交表を使うと9回で済む。

 直交表は,因子や水準の数,実験回数などによってさまざまな種類がある。各設計パラメータの水準は同じ回数だけ出現し,その組み合わせにも偏りがないようになっている。